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 40の短文描写お題  /  配布元:文章修行家さんに40の短文描写お題

00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。
 雪平かなめ、サイト名はBlank Beatです。「MY GOD」の三人でやります。もしかしたら未来の話も混じっているかも。
 65文字以内でちゃんと描写できているか不安ですが少しでも楽しんでいただければ幸いです。

01. 告白(56文字)
 さっきからそわそわしていた坂口さんが、顔を真っ赤にしながらやっと口を開いた。
「あの、ト、トイレ貸して、ください」

02. 嘘(57文字)
 いつも合わない目が完全に俺から離れる。いつも頼りない声がますます頼りなくなる。本当に坂口さんは嘘を吐くのが下手だ。

03. 卒業(61文字)
 朝のしんとした教室に坂口さんの小さな声が響く。卒業したらこの時間がなくなるのだと思ったら、初めて卒業するのが惜しくなった。

04. 旅(41文字)
 何を見てもどこを歩いてもあれの顔が浮かんできたから次はあれも連れて行くことにした。

05. 学ぶ(65文字)
 孝太郎の場所であれの背中を見ながら授業を受ける。偽物の記憶を必死に刻みつけている自分に気づいて目の前にある髪を引っ張りたくなった。

06. 電車(60文字)
 隣に座っている坂口さんの頭が前後左右にふらふら動いた挙句落ち着いた先が、俺の肩ではなく手すりだったことに少し腹が立った。

07. ペット(62文字)
「お手」
 そう言いながら宗太郎さんが差し出した右手に思わず右手で作った握り拳を乗せた。頭を撫でられた。おかわりはできなかった。

08. 癖(60文字)
 神くんの部屋で一緒に宿題。神くんがシャーペンをくるくる回しているのをこっそり真似しようとしたらシャーペンが飛んで行った。

09. おとな(64文字)
 なかなか残高の増えない通帳を眺めながらベッドに横になる。坂口さんのためにも、今まで真っ白だった人生設計を見直すべきかもしれない。

10. 食事(65文字)
「はい、あーん」
 宗太郎さんがそういうこと言うの、卑怯だ。逃げ場がなくて口を開けた。お粥の味がわからないのは風邪のせいだけじゃない。

11. 本(64文字)
 放課後の図書室で、本を読んでいるときの坂口さんの顔が面白いことを知った。俺に全く気づかないのはころころ変わる表情に免じて許そう。

12. 夢(55文字)
 神くんがお昼ごはんを作ってくれている音を宗太郎さんと聞きながらまどろむこの時間は本当に現実なのか不安になった。

13. 女と女(64文字)
 休み時間、頬杖をついている坂口さんの視線の先には廊下で騒いでいる女子数人。後ろにはその背中を見て抱き締めたい衝動と闘っている俺。

14. 手紙(60文字)
 宗太郎さんから手紙が届いた。きれいな字と時候の挨拶から始まる丁寧な文章で明日うちに来ると書いてあった。宝物がまた増えた。

15. 信仰(65文字)
「あんたは殺しても何しても死なない気がする」
 吐き出した言葉に目の前の馬鹿女は視線をさまよわせる。
「俺にとってあんたはそういう存在」

16. 遊び(54文字)
 坂口さんとおままごとをしたいと言ったら変な顔をされたから、お医者さんごっこでもいいと言おうとしたのはやめた。

17. 初体験(64文字)
「や、やっぱり怖い」
 あんなに触りたそうに見つめておいて怖気づく坂口さんの右手をとった。人慣れした猫は震える手が触れても動じない。

18. 仕事(65文字)
 バイトから帰ったら制服にエプロン姿の坂口さんが台所でお玉を片手に固まっていた。俺も固まった。坂口さんの隣に宗太郎もいて我に返った。

19. 化粧(61文字)
 衝動買いした色つきのリップクリームを塗ってみた。少しだけいつもと違う自分になったみたいでどきどきした。二人とも気づくかな?

20. 怒り(58文字)
 神くんがとびきりきれいに笑った。帰るって言ったけど脚が震えて立ち上がれなかった。神くんに掴まった。もう逃げられない。

21. 神秘(65文字)
 たった一人のことで頭の中がいっぱいになってしまうなんて昔は信じられなかった。一生懸命黒板を写す坂口さんの背中を見ながら感慨に耽る。

22. 噂(65文字)
 数メートル先を歩く同じクラスの女子が大声で話していた。
「神くんと坂口さんが付き合ってるって本当かな」
 本当だと言いたいのは我慢した。

23. 彼と彼女(62文字)
 坂口さんと並んでどっちがより恋人らしく見えるかで宗太郎と数時間言い合いになった。そのことを渉に話したら憐れみの目で見られた。

24. 悲しみ(65文字)
 孝太郎が買い物に行って手持無沙汰になったあれに漫画を渡した。そのギャグ漫画のどこにそんな涙を堪えるようなシーンがあるのか気になる。

25. 生(59文字)
 怖いくらいに大きな蝉の声に包まれて空を覆う緑を見上げた。数歩先を歩いていた神くんと宗太郎さんも立ち止まって緑を仰いだ。

26. 死(65文字)
「蚊が、蚊がね」
 突然俺の左頬を叩いた坂口さんがそのままの体勢で泣きそうになりながら弁解する。可愛いからしばらく怒ったふりをしよう。

27. 芝居(64文字)
 神くんのふりをした宗太郎さんが神くんの笑顔をわたしに向ける。わたしが思わず体を引いたらいつもの宗太郎さんの顔になってほっとした。

28. 体(64文字)
 やっぱりヌードが描きたいと宗太郎さんに迫られた。神くんに助けてもらおうとしたら「二人でヌードになる?」って言われた。どうしよう。

29. 感謝(63文字)
 坂口さんをうちに呼んで英語の予習を手伝ったのは下心があってのことです。だからそんなに嬉しそうな顔でありがとうなんて言わないで。

30. イベント(55文字)
 画材を買うついでに本屋に寄った。あれの家と学校の中間にある駅の近くの本屋。あれがいた。不意打ちすぎて動揺した。

31. やわらかさ(65文字)
「やわらかい」
 後ろから抱き締めたあれの腹の肉を触って言ったら泣かれた。そのまま胸を触ったら泣きやんだけどその後しばらく無視された。

32. 痛み(56文字)
「あっ、そこは、駄目、い、痛……っ」
 宗太郎に無理やり肩を揉まれて悶えている坂口さんを見ていたら変な気分になった。

33. 好き(64文字)
 てのひらに書いた言葉を当ててみてと神くんがわたしの右手をとった。目を閉じて神くんの指の動きを感じる。二文字目は口に出せなかった。

34. 今昔(いまむかし)(64文字)
「……何」
 ベッドの上で雑誌を読んでいた宗太郎さんが顔を上げて慌てて目を逸らした。昨夜見た赤ちゃんの頃の写真と比べていたのは内緒。

35. 渇き(65文字)
 玄関のところでバイバイって言おうとしたら突然宗太郎さんに抱き締められた。宗太郎さんの肩越しに後ろで苦笑いしてる神くんと目が合った。

36. 浪漫(57文字)
 灰色のソファー、わたしの右側には宗太郎さん、左側には神くん。テレビではさっきからキスシーンが流れている。気まずい。

37. 季節(62文字)
 汗で湿った手も氷みたいに冷たくて荒れた手も、あれの手はやっぱり特別で握ったら離したくなくなる。今日の手は温かくて気持ちいい。

38. 別れ(65文字)
 遠ざかる坂口さんの背中が見えなくなってからドアを閉めた。寝転んで夕飯をせがむ宗太郎が坂口さんだったらいいのにと馬鹿なことを考えた。

39. 欲(61文字)
 ホットケーキを食べて腹が膨れてうとうとし出したあれに孝太郎がベッドを貸した。もう一つの欲も満たす準備はいつでもできている。

40. 贈り物(60文字)
「はい、プレゼント……な、なんちゃって」
 首にリボンを結んだ坂口さんの捨て身の冗談は俺と宗太郎の前では冗談にならなかった。

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